救急隊員、家族の搬送要請を拒否…けがの男性重体に

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061118i501.htm

奈良県橿原市の県警橿原署の駐車場内で今月15日、頭にけがをしているのを見つかった同県大淀町内の木工業男性(42)が、同署の通報を受けて来た中和広域消防本部橿原消防署の救急隊員から、「搬送先の病院を探すのに時間がかかる」などとして、搬送を拒否されていたことがわかった。
その際、隊員は搬送先を探しもしなかったという。男性は家族が家に連れ帰った後も、意識が戻らず、運ばれた病院で外傷性脳内出血と診断され、約9時間後に手術を受けたが、重体のまま。
消防本部は「結果的には搬送すべきだった。職務怠慢と言われても仕方がない」とミスを認めている。
橿原署や消防本部などによると、男性は15日午前2時10分ごろ、同署駐車場で頭から血を流しているのが見つかった。同市内の飲食店で飲酒後、店近くの駐車場で転倒、頭などを強打したとみられ、約300メートル離れた署の駐車場に迷い込んだらしい。
当初は意識があり、署員が氏名と連絡先を聞き出したが、約50分後に意識を失ったため家族を呼び、橿原消防署に搬送を要請した。
救急隊員は、男性を見て転倒による軽傷と判断。家族が「大淀病院の妊婦が死亡した問題のこともあるので、病院に運んでほしい」などと懇願したが、消防隊員は搬送先を探さず、「朝まで大丈夫なので、様子を見て病院に運んでほしい」と説得して引き揚げた。この際、家族は「私の都合により、救急搬送をお断りします」という内容の「救急搬送承諾書」に署名を求められ、書いたという。
男性は自宅に戻ったが、朝になっても、意識が戻らず、家族が同市の県立医大病院に搬送。午前11時ごろから手術を受けたが、意識は戻っていない。男性の父親(72)は「近くに医大病院があると何度も頼んだのに搬送してもらえなかった。すぐに病院で治療を受けていればこんな結果にならなかったはず」と憤っている。
当時の近隣の救急病院の受け入れ状況は不明だが、県内の他の消防本部によると、家族から救急搬送の要望があった場合、断ることはなく、たとえ近隣の病院が満床であっても、見つかるまで受け入れ先を探すという。高橋善康・橿原消防署長は「脳内出血かどうかを見極めるのは難しいが、結果的に判断ミスをした。再発防止に努めたい」と話している。

場所と言い状況と言い本部のコメントと言い、あまりに出来すぎでネタニュースだと思ったんだがマジか。運ぼうとする姿勢だけでも見せれば「搬送拒否」した病院が捜査されたり「ベッドが無くてもとりあえず受け入れろ」とか「恥を知れ」とか言われたりするだけで済むのに、わざわざ救急隊員が自ら責任を背負い込むかねぇ。
朝日の記事だと署長のコメントは「当時の救急隊の判断は適正だったと考えている」。「結果的に」はやはりそういう意味ですな。「鼻血と左顔面に擦り傷」「痛みを訴えていなかったことや会話もできた」という記述は、「頭から血を流して」いたところを発見され「約50分後に意識を失った」(その後、救急隊員が来た時のことは書いていない)読売記事とは違った印象を受けるね。見出しは凄いけど*1。朝日の表現みたいな状況なら、リスク管理が甘い人だと運ばないのかねぇ。そこまで防衛が浸透してないとも思えないんだけどなぁ。いずれにせよ全例搬送(できないまでも搬送先を探す努力をすること)が救急隊員にとっては無難。病院はたまったもんじゃないけど。
おまけで毎日の記事も貼っておこう。もひとつ日刊スポーツ

*1:「出血の男性、救急隊が搬送せず 意識不明に 奈良」