ツッコミ用

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/134/index.html

ある政治家は、「医者の数がどんどん増えると、それに比例して医療費が増えてしまうからよくない」と述べている。だが、そんなことはありえない。供給が増えれば値段が下がるのは必然であり、国民が支払う医療費を抑えることができるはずだ。

医師誘発需要説が正しいかどうかはともかく、公定価格に神の見えざる手を期待するか。まあ、公定価格でもDPCデフレスパイラル*1という神の手、というか厚労省の手は働いてるけど、それは資本主義的な変化じゃなくて、厚労省の計画通りなだけだし。

そこで重要になってくるのは、先端医療技術よりもコミュニケーション能力である。そうした技能の優れた人を養成して、2級医師にするわけだ。2級医師は4年制で卒業可能として、とりあえず大量に育成する。
最近の若者には、福祉の分野で働きたいという意欲を持つ人が多いから、人は集まるだろう。病院が彼らを年収300万円ほどで雇えば、若年層の失業対策にもなる。
病院としても、そうした2級医師を採用して「早い、安い」を売り物にすれば人気が出るだろう。高齢者にとっては、待ち時間が減って、話をじっくり聞いてくれるので喜ばしい。こうした医療機関が普及すれば全体の医療費を下げられる。みんなハッピーになるのではないか。

天才過ぎて吹いた。「若年層の失業対策になる」くらいの年齢の医者だと、都内なら普通に年収300万前後じゃね。一応6年かけて卒業した「1級医師」(笑)でも。つーか、「主に慢性疾患をフォローして必要なら高次に投げる」と「高度医療を提供する」という役割分担は、診療所/病院の役割分担としてずっと言われ続けていることだよね。
そもそも、「待ち時間が減って、話をじっくり聞いてくれる」ってのが難しいんだけど。例えば3列でやっていた外来を9列にしても(それ自体が外来のスペース的にかなりの困難を伴いそうだが)、じっくり3倍の時間(本文中だと「5分しか診てもらえない」とあるので例えば15分)話を聞いてたらあんまり変わらなくね? そして万が一「早い、安い」を売り物に人気が出ても、それは患者数増加→待ち時間が長くなるという矛盾を孕むという。

現在、医師と比べて歯科医は数が余っているのが実情だ。一部には夜逃げをする歯科医まであると聞く。
これを医師に転換するというアイデアである。歯科医は大学で6年間勉強しているから、医療についての知識は当然持ち合わせている。少なくとも、一般の医療活動ならば十分にできる。
なかでも麻酔ならばお手のものだ。病院での麻酔医の不足が大きな問題となっているなか、日常的に麻酔を使っている歯科医は貴重な存在である。麻酔医を増やすためのコストがほとんどかからないので、確実に医療費の削減につながる。

浸潤麻酔メインの麻酔科医はじまったな。もちろん全麻できる歯科医もいるんだろうけど。あと、獣医も薬剤師も「大学で6年間勉強しているから」大丈夫かも。ていうか、獣医って普通に全麻できるんじゃね? うん、今よく知らないのに適当言った。同類ですね。

歯科医を医師にせよという意見は、いままでにもあった。だが、残念ながら厚生労働省に門前払いにされ、検討さえされていない。

それは門前払いで正しいと思う。むしろそんなんが真剣に検討されてたら厚労省ヤバいから。さすがに医師会最強ネタは鮮度切れだ。利権のために動こうとしている団体なのはそうなんだろうけど、医科歯科相互乗入は利権とか関係なく無理だから。


経済アナリストも1級2級で仕事を分担して、森永さんはヲタがらみだけやってればいいんじゃないかと思いました。

*1:DPCでギリギリの値段が設定される→その中で何とか利益を出そうとして必死に入院治療費を切り詰める→厚労省「今までのDPCの値段は高すぎたんだね!」→DPC下げられる→その中で何とか利益を出そうとして必死に切り詰める→「今まで高すぎたね!」→下げられる→切り詰める→下げられる→…