藤山裁きメモ

健診肺癌見落とし訴訟。「5生率が30%下がった」ってやつ。見落としが注意義務違反であること自体は争っていなかったようだ。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060601171019.pdf

1(一) A医師は,平成15年11月14日付けの「原告への説明内容について」と題する書面(甲B1)を作成し,同年10月20日に医療センターで原告と面談した内容について被告府中市に報告をした。同書面には,「平成14年9月25日に判定させていただいた,胸部レントゲンを再度拝見すると,約1㎝の結節影がありました。私は,Retrospective にみると確かに存在し,癌とは診断できないまでも,精査をすすめなければならないものであったと思うとお話ししました。肋間ではあるが右肺動脈と重なっており,気が付かなかったものと思うこと,この時点でみつけていれば,F【裁判所注:原告のこと】様の受けた精神的,肉体的負担が軽く済んだであろうことをお話し申し訳ないと謝罪しました。」「F様は,D病院の先生からも3㎝ならわかるが,1㎝を健診でみつけるのはなかなか難しいと言われたことをお話ししてくださいました。私は,医師である以上,患者様の異常の早期発見はそれがどんなに小さいものでも義務であり,それを発見できず,F様に負担をかけてしまったことについて再度謝罪しました。」との記載がある。
(二) 原告は,その陳述書(甲C4)において,平成15年10月20日A医師と面会した際のことにつき,1㎝は発見が難しかったのではという原告の問いに対し,A医師が「そんなことはありません。これは明らかに私の見落としです。」と見落としを認め,何度もお詫びをされました。正直に見落としを認め土下座するごとく謝るA医師はすばらしいと思いました。私の命があってありがとうと言った気持ちを真摯に受け止め,医療向上に努めてほしいと思いました,と記載している。

なんだこの心温まるエピソードは。それでも裁判になると殺伐と争わねばならない。世知辛い世の中だね。ちなみに被告は市とA医師。