東大病院で2重の医療事故 10代の重症心臓疾患患者に

http://www.asahi.com/national/update/0220/TKY200702200357.html
記事のほとんどの部分はプレスリリースのコピペ。産経の「意識状態を判断できない」ってのがよく分からなかったけど、鎮静剤の影響で評価不能ということらしい。

東京大学医学部付属病院は20日、入院中の10代男性の重症心臓疾患の患者がベッドから転落し、補助人工心臓に血液を送る管が抜け、翌日の再植え込み手術後にも人工呼吸器の作動が遅れる二重の医療事故があったと発表した。患者は意識不明の重体。同病院では、家族に謝罪するとともに、調査委員会を設置し、原因究明と再発防止策の検討を始めた。
同病院によると、この患者は1月に重症心臓疾患で集中治療室に入院。今月1日、ベッドから転落する10分前から鎮静のための点滴を始め、5分後に看護師が様子を見て問いかけた時は落ち着いていたという。その5分後に隣のブースで別の患者を処置していた看護師がドスンという音を聞いて駆けつけたところ、患者は床に落ち、植え込み手術を受けていた補助人工心臓の管が抜け、3リットル以上出血したという。
発見後、当直医師が気管挿管や心臓マッサージなどの救命措置をするとともに、補助人工心臓の管挿入部での止血などを行った。
患者は、転落で管が抜けたことで一時、瞳孔が広がり、対光反射が消えた。脳に障害を受けたが、治療で改善傾向にあるという。
ベッドには床ずれ防止のためにエアマットを敷いていたため、ふとんの高さが手すりとほぼ同じ位置まで上がり、転落防止の役割をなさなかった。同病院は「我々の予想を超えて患者が動いた」と説明する。
さらに、この事故で翌日に補助人工心臓の再植え込み手術をした後、集中治療室で人工呼吸器を接続し、電源を入れて呼吸数などの設定をしたものの、待機モードのまま作動させず、3〜4分の間、低酸素状態になったという。
同病院は「管理ミスだった。患者と家族におわび申し上げる。今後このようなことのないよう再発防止に努める」としている。

読売:患者が病床から転落、翌日も医療ミスで重体…東大病院

東京大学付属病院(東京都文京区)で、重症心臓疾患のために集中治療室に入院していた10代後半の男性患者がベッドから転落し、心臓と補助人工心臓をつないで血液を循環させる管が抜ける医療事故が起きていたことがわかった。
さらに、同病院は、翌日行った補助人工心臓の交換手術後にも、人工呼吸器を作動させるのを忘れるミスを重ねていた。患者は、意識不明の重体。同病院が20日発表した。
同病院によると、患者は今年1月、重症心臓疾患で集中治療室に入院。今月1日、鎮静剤の点滴中、ベッドから床に転落したはずみに、心臓から補助人工心臓に血液を送る管が外れ、大量出血した。隣のブースで処置中の看護師が転落の音を聞いてすぐに駆けつけたが、転落時には、誰もそばにいなかったという。この事故で、脳の中枢神経にダメージを受けたとみられる。
さらに、転落事故の翌日、補助人工心臓を交換する手術後、人工呼吸器が付けられたが、スタッフが酸素を供給するスイッチを入れ忘れ、酸素が送られない状態が約7〜8分間続いた。
同病院は「患者やご家族の信頼を裏切る結果となり、心からおわび申し上げる」とコメントしている。

毎日:東大病院:患者ベッドから転落 チューブ抜け、意識不明

東京大病院(東京都文京区、永井良三院長)は20日、重い心臓病で入院中の10代の男性患者がベッドから転落、補助人工心臓が外れて大量出血したうえ、翌日にも人工呼吸器の不適切な取り扱いにより、意識不明になっていると発表した。病院側は患者の家族に謝罪したという。
同病院によると、今月1日夜、病院内の集中治療室で医師や看護師が目を離した間に患者がベッドから転落。治療のため埋め込んでいた補助人工心臓のチューブが抜け、心臓から大量出血。これにより、脳に障害が出た。
さらに、翌日、患者に補助人工心臓を再び埋め込んだ後、集中治療室に戻って人工呼吸器を装着した際、呼吸器が待機モードになっていたため、作動するまでの3〜4分間、動脈の血液の酸素飽和度が90%以下の低酸素状態が続いたという。
患者のベッドには転落防止用のさくが設置されていたが、厚いマットを敷いていたため、転落しやすい状態だったという。病院側は調査委員会を設置し、転落の原因や人工呼吸器が待機モードになっていた経緯を詳しく調べる方針。

産経:東大病院で医療事故 ベッドから転落、補助人工心臓の血管抜ける

東大付属病院(東京都文京区)は20日、重症心臓疾患で入院中の10代の患者がベッドから転落し、補助人工心臓につながる血管が抜け、意識不明の重体になる医療事故が起きたと明らかにした。この患者に補助人工心臓を再び植え込む手術を行った際にも人工呼吸器が作動しないミスが起きており、同院は調査委員会を設け、事故原因の究明と再発防止の検討を進めている。
東大病院によると、薬剤の点滴を始め患者が落ち着いた状態であることを確認して看護師がベッドから離れた約5分後、ドスンという音がし、患者が転落している状態で見つかった。患者の心臓に挿入されていた補助人工心臓の脱血管が抜け、大量出血しており、ただちに当直医師らが気管内挿入や止血措置、人工心肺の装着など救命措置を行った。
事故翌日に補助人工心臓の再植え込み手術を行い、集中治療室に戻って人工呼吸器を接続したところ、人工呼吸器が作動せず血中の酸素が不足する状態が3〜4分間続いたという。
患者は事故直後に意識不明に陥っており、現在も意識状態を判断できないという。同院は家族に事故の事実経過について説明するとともに謝罪したという。

報道発表

事故の概要
1. 本年2月、重症心臓疾患のため当院集中治療室入院中の10歳代の患者様が、ベッドから転落された際、補助人工心臓の脱血管が抜け、中枢神経への障害が生じました。また、転落の翌日行われた補助人工心臓の再植え込み術後に、人工呼吸器による換気の開始が遅れ、約3〜4分間動脈血の酸素飽和度が低下している時間がありました。
2. 転落の起こった約10分前から、鎮静のための薬剤の点滴を開始し、点滴開始約5分後に看護師が患者様の様子を見て問いかけを行い、患者様が落ち着いた状態であることを確認しました。その5分後に、看護師が隣のブースで処置中に、ドスンという音が聞こえたため直ぐに確認したところ、患者様が床に転落し、心臓に挿入されていた補助人工心臓の脱血管が抜け、大量出血しておりました。
3. 発見後直ちに当直医師により気管内挿管や心臓マッサージなどの救命蘇生治療が行われ、また、補助人工心臓送血管からの空気流入と脱血管挿入部からの出血を止める処置、ならびに人工心肺(PCPS)による治療が行われました。転落事故後に一時瞳孔が散大し対光反射が消失したため、出血と空気流入により中枢神経が障害を受けたと考えられました。瞳孔散大と対光反射は、治療により徐々に改善傾向を示しております。
4. 転落事故の翌日に、補助人工心臓の再植え込み術が行われました。手術が終了し、純酸素で換気された状況で集中治療室に帰室した後、人工呼吸器に接続されましたが、人工呼吸器がスタンバイモード(電源が入っていて設定はできるが実際に動作はしていない状態)のまま換気されない状況で、動脈血の酸素飽和度が90%以下の時間が約3〜4分間ありました。ただし,循環は補助人工心臓で維持されていました。瞳孔や対光反射の状態に対しては、酸素飽和度の低下の影響は見られませんでした。
5. 現在鎮静のための薬剤を使用しているため、意識の状態はまだ判断ができません。酸素飽和度の低下による患者様への影響については、今後も慎重に経過を観察していくことが必要な状況です。
6. 今回の事実経過につきましては、患者様のご家族にご説明し謝罪いたしました。
7. また、既に調査委員会を設置し、原因の究明及び再発防止策の検討を行っております。本院といたしましては、今回の事故を真摯に受けとめ、今後このようなことを起こさないよう、医療安全管理体制の一層の強化を図っていく所存です。
8. 以上の事実につきましては、関係機関に報告いたしました。