10巻

ズックニィ水没シーンの【ホントに世界が〜】って、連載時は無かったと思うけど、どうだっけ。このモノローグが入ると、ニケの「強いヤツは必要だしな!」を魔王ちゃんがどう受け取ったか、連載時とはちょっと解釈が変わるかも。当時は、伏字ちゃんの力に恐怖して拒絶したシエロちゃんに対して、魔王ちゃんの強さを受容したニケという対比だという説を読んでなるほどと納得していた。
しかし、このモノローグが入ると、むしろニケに「強い」と言われたことで魔王ちゃん側が反発したように感じられる。グルグル使いとしてであったり、魔王としてであったり、これまでその強さ、力を通してしか自分を見てもらえなかった魔王ちゃんが望んでいたのは、強さとは関係なく「カワイイって言ってくれる」仲間や友達だった。だからこそ、最初からククリと遊ぶような形で接していたのかもしれない(その手段は強大な魔力を利用して、だが)。
実際、この後の11巻相当分で、魔王ちゃんは思いがけない仲間を得ることになる。今月掲載分(第71章)では、魔王ちゃんのことを「何のとりえもないが大切な仲間」と言い切るこいつらと一緒に居る環境を、魔王ちゃんはこれまで得られなかった「われらのエリア」だと認識している。少し前までは魔王として多くの部下を従えていたが、それは「われらのエリア」ではなかった。魔王の地位を失って、ククリに「あたしたちのパーティに入らない?」と訊かれて、「なかまにしてくれるの?」と答えたところまではパーティ加入に前向きだったと思うんだけど、ニケの「強いヤツ」発言でこのパーティも求めていたものではないと感じた、という解釈が成り立つ気がする。
もうひとつ、ジュジュの言う「魔王はぜったいクーちゃんにあこがれてるはず」も、この解釈を補強しうるかもしれない。ククリも魔王ちゃんほどではないとはいえ強大な魔力の持ち主だったはずだけど、じゃあククリに魔力が無ければ、グルグル使いでなければ、ニケはククリのことを見向きもしないのか、と言ったら、そんなことはないわけで。ククリも相変わらず呼称は「勇者様」だけど、ニケが勇者だから一緒にいる、なんて段階はとっくの昔に過ぎ去っているわけで。自らはシエロちゃんと築けなかった関係。そんなニケとの関係性も含めてククリのことを羨んで、憧れて、ククリから仲間に誘われて、自分にもそんな風に接してくれるかと思ったら「強いヤツ」。予想外の言葉に一瞬きょとんとして、その意味を理解して、ああ、ここも自分の居場所ではなかった、と涙を隠すために暴走魔法陣発動。うん、そりゃククリに意地悪したくもなるわ。


……なんか勇者様が無自覚にひどいこと言ったみたいな解釈で、自分で書いといてなんだけど、もやもやする。第3章で魔法オババから「ククリをがっかりさせるようなことはダメじゃ!」「さもなくば世界滅亡じゃ」と、ククリに関しては警告されていたニケだけど、別のグルグル使いをがっかりさせたのかなあ。
もう一度、少し前から読み直してみる必要があるな。10巻もこのズックニィ水没シーン周りは追記で違和感があったから読み返したけど、他はまだあまりしっかり読めていないし。


どうでもいいけど、このシーンにザムディンいるのな。